一流の料理人が美味しい料理を知っているように、建築家も良い住まいを知っています。人それぞれに好みによる違いもありますが、美味しい料理は誰が食べても美味しいし、良い住まいは誰が見てもやはり良いはずです。
大金をはたいた高級な家づくりは誰でも出来るはずですが、普通 の人が普通に建てられる良い住まいとはどういう住まいなのかを、住宅の建築家として、「こんな家に住んでほしい」という想いを込めて何回かに分けて提案したいと思います。


私が住んでいた家です。
先日改築のため、今まで7年間住んでいた家を出て、RCマンションの1Fに引っ越しました。引っ越しの終わった次の日の朝、妻と息子が口を大にして言った不平は一言で「寒い」ということでした。
RCマンションが寒いと言うことは、皆さんは不思議に思うかもしれませんが、私の住んでいた家に比べると確かに比較にならないくらい寒いのです。 二十歳の息子は、前の家でパンツ1枚でも平気だったのですが、このマンションに引っ越してからは、ずっとパジャマを着ています。さらに妻は、「冷たい風が入ってくる」と不平を言います。
私は自信を持って答えてあげます。「木で創った前の家は、暖かかっただろう」と。私の家づくりの基本は、冬暖かいこと。それでいて夏涼しいこと。一言でいうと、快適な住まいづくりを基本としています。
前の家では、トイレも洗面所も浴室までも冬全館暖かかったですし、且つ静かでした。窓は沢山あり、光は降り注ぎましたが、外部の音は入ってきません。構造躯体は木造ツーバイフォー住宅です。壁は、ツーバイシックス(206)というちょっと壁の厚さが、厚い住宅です。
「早く家に帰りたい。」と家族全員が言います。ペットの犬でさえも寒い様子。
私は、住宅の建築家(屋)として私の建てた家は、間違いなかったと、ちょっと自信を深めました。
今まで多くの家を創り、監理してきた立場から「本当に良い住宅だ」と、多くの人の言う家とはどんな家なのか、また作り手・建築家として「こんな家に住んでほしい」とはどういう家なのかを、考えてみたいと思います。
どのような住まい方をするのか、住まいの中心を何に置くのか等々色々な条件がある中で、住まいづくりは次の条件を満たすことを考えています。
1 美しいこと。
2 安全であること。
3 快適であること。
4 優しいこと。
次回からこの四つの条件について、掘り下げてお話しさせていただきます。
- 構造躯体とは、木の家の場合柱・梁等の家を支える部分のことを言います。鉄骨(軽鉄)住宅の場合は、鉄骨の柱・梁をさし、RC鉄筋コンクリート住宅の場合、鉄筋コンクリート部分をさします。
- 木造ツーバイフォーとツーバイシックス(206)とは、木の家の場合、柱・梁を使った昔ながらの住宅(在来住宅)と主として北欧・北米で造られている2×4という柱と合板で造った住宅をいいます。日本では、札幌の時計台が有名です。

高性能で、丈夫な100年住宅を創っても美しくなければ邪魔であり、壊してしまいたくなります。次世代の人が見ても美しいという家を創らなければなりません。
また住宅は、一戸のみの景観としてだけなく家々は街並みを形成しています。美しい街並みの提案が必要であり、街並みの美しさが大切です。
『安全であること』とは、 住宅は、家族を守る場所であるべきです。丈夫で安全な家創りが大切。住宅の基礎から、建物の構造まで丈夫であり、地震、台風などびくともしない家創りが必要です。
阪神・淡路地震で多くの方が自分の家で圧死されています。何という不幸なことなのでしょうか。震度6.7でもびくともしない家創りが大切です。安全な家で暮らすことは、家族の喜びをもたらします。
快適な家は、丈夫な構造のもと、断熱性能を高めた省エネ住宅であり、換気計画を十分に取り入れられた住宅です。断熱性能・気密性能を高めた住宅には、換気に対する考え方が大切です。

途中風景。サイディングを外し、
ガリバリウム鋼板を備え付けています。
ガリバリウム鋼板を備え付けています。
昨今、やっと住宅で起きる病気がシックハウスとして注目を集めてきました。コンクリート等の密閉された箱の中で換気の事を考えず、ホルマリンの多く含まれた新建材や接着剤を使い、湿度の調整を考慮されていない住宅は、喘息や目の痛み等のハウスシックを引起す事は明らかです。
人に優しい住宅は、石、木、水、土等の自然素材を使った家創りと考えます。産業廃棄物が大きな問題となっている昨今。ゴミを破棄し捨てるところは無くなっています。地球に対する優しさを考えると、なるべくゴミを出さないことと、朽ち果てて自然に帰る素材を使った家創りを行うことが大切です。
ゴミを出さないためには、最大の産業廃棄物の一つである住宅の解体ゴミを減らすことが大切です。そのためには、住宅寿命を延ばせば良いのです。日本では、住宅寿命が、25年といわれており、資産価値も、18年でゼロになると言われています。
こうした家創りが問題であったのです。
つづく リフォームした家:乾式煉瓦をはめ込み、外壁のメンテナンスが入らない状態に。
私の提案する家創りは、次の四つの条件を備えていることです。
◎美しいこと◎安全であること
◎快適であること
◎優しいこと
具体的に、これらの条件を満たした家を造るには、石、木、水、土等の自然素材を使った、木と煉瓦の家と考えています。
まず、『木』についてですが、人が住み生活するには、木で造られた家が一番と考えています。木は生きており、千年生きた木は、また千年生きるといわれます。さらにコンクリートや鉄よりも耐久性に優れ、木で造られた家は「ちゃんとした造り方」をすれば、五十年や百年は問題なく長持ちします。
また木は、火に弱いと考えられていますが、木の持つ炭化作用により表面 が炭となり表面から4〜5センチの内部は燃えません。木は呼吸し、湿気や音、熱を吸収してくれる優れた性能を備えています。木でできた家は、本当は丈夫で強いのです。
人の生活の基本である家は、可能な限り土に接するべきであり、高層住宅である必要はありません。高層である必要のない家を、わざわざコンクリートや鉄で作る必要性もありません。
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家の構造躯体(梁や柱)が自然素材の木でも、外壁が化学建材では意味がありません。外壁部分も土に返る素材が必要です。土に返る素材として、ALCや漆喰もありますが、土そのものを高熱で焼いた煉瓦(焼成煉瓦)を外壁に使うことを提案します。
旧約聖書によりますと、土の塵で人の形を作り、鼻に息を吹き入れて神はアダムを創られたとあります。人は土から生まれ、土に返ります。人は土器を作り、土を干して乾かし煉瓦を作りました。「バベルの塔」も「万里の長城」も「モヘンジョダロの遺跡」も煉瓦でした。近代の建築家『アントニオ・ガウディー』による「サグラダファミリア」も煉瓦と石で作られています。現在、鉄筋コンクリートで継続して作られていますが、鉄筋コンクリートで作られた現在の塔の寿命は百年ぐらいと考えられますが、煉瓦と石で作られた昔の塔の寿命は千年の単位 で持つといわれています。
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年月を経るにしたがって味わいと美しさを持つ煉瓦は、日本人の憧れでもありました。明治に入り、東京駅、旧北海道庁、旧岩手銀行、横浜市開港記念館等々、煉瓦の建造物は数多く作られ親しまれました。
が、当時の煉瓦積みの施工技術では、耐震性も弱く問題でした。そして大正の大震災後、煉瓦積みの家は造られなくなりました。現在、耐震性に優れた煉瓦外壁の特許工法が、開発されました。その工法は、ガルバリューム鋼板の下地に25ミリ厚の煉瓦を一つ一つ固定し、煉瓦メジを詰めて一体化するという工法です。この煉瓦を使った暖かい木の家を「こんな家に住んでほしい」という思いを込めて、私は提案します。
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石、木、水、土等の自然に帰すことのできる素材を使った家。快適で美しく、世代を越えて住み続けたくなる家。単体の家としても、集合の街並みとしても美しい。資産価値も高い優良なストックハウスとなる住宅を提案していきたい。これは、建築家であるならば、良く分かり当たり前のことを、当たり前に言っているだけのこと。
特許工法:煉瓦の下地用として、ガルバリウム鋼板を緊結構造に加工し、一つ一つの煉瓦をガッチリと金属の爪に固定し、目地をモルタルで固めるという二重安全策を実施。
リフォームした家:乾式煉瓦をはめ込み、外壁のメンテナンスが入らない状態に
今回より、インテリアコーディネーターから見る各部屋のあり方を語っていきます。初回の話は、「子供部屋」です。
子供部屋のインテリアは、以外に難しい要素が詰まっています。そんな子供部屋のインテリアポイントをご紹介したいと思います。 乳児の時には、舐めたり口に入れたりするので、床材や壁紙・家具等も安全な物を使いたいですし、幼児になってくると、今度はイタズラに困ることも。小学校に入ると、勉強に集中できる環境だったり、思春期にもなればプライバシーなどの配慮も必要です。 以上のように子供部屋は、家中のどの部屋よりも使い方が著しく変わる部屋なのです。ですから子供の成長に合わせて配置や仕様などを替え、段階に応じた部屋作りをしていきたいですね。
床
小さな子供は、部屋中の物を舐めたり口に入れたりするもの。床材や壁紙には安全な物を選ぶことと、汚してもすぐに拭けるような素材をお勧めします。 例えば床ですが、遊ぶスペースだけをカーペットのピース敷きにしたり、タイルカーペットにしておくと床の冷たさや、オモチャの傷が床につきにくくなり、カーペットも頃合いを見て部分的に取り替えが出来ます。
壁
子供部屋の壁は、汚れて当たり前。そうわかっていても困ってしまいますよね。そんなイタズラさかりの頃には、汚れを簡単に拭き取れる壁紙にしておくもの良いでしょう。 また、お子様の身長あたりまでがよく汚れますので、腰でクロスを切り替えて腰より下だけを張り替えたりするのも良いかと思います。 年齢が上がり本人の好みがハッキリしてきたら、壁紙と一緒に選んでみてはいかがでしょう。「星柄が良い」とか「ピンクが良い」とかお子様の個性を育むのに一役買うでしょう。
照明
子供は、床にころがって本を読んだりしますので、全体の照明はとても大切です。 通常で100ルクス以上。理想的には、200ルクス以上です。平均100ルクス以上の照度を得るには、だいたい4.5畳で20W蛍光灯2本。6畳で3本は、必要です。
また、勉強のための照明という事になれば、小学校から中学校までは、だいたい300ルクス以上。高校以上は、文字が小さくなるので500ルクス以上が必要です。
電気スタンドは、通常300ルクスあります。これに全体の照明が100ルクスあれば、机の上は400ルクスあるので、全体照明と局部照明の合計で明るさを確保するようにします。
色彩
遊び場としての子供部屋の時期と勉強部屋としての時期によって、色彩の考え方も異なります。オレンジのような暖色系は、気持ちを明るく引き立たせる活動的な興奮色です。
薄い青や薄い緑のような寒色系は、落ち着きを育むといわれていますので、長時間の作業等に向いています。
勉強等に集中したい時期や活動的になりたい時期など、その時期にあった色彩を考えるのも楽しいものです。
高気密高断熱住宅が多い昨今。花粉やダニの死骸などによるアレルギー性疾患も心配です。子供部屋の換気には、十分配慮しましょう。
窓や換気口、部屋の上部に小窓のついたサッシを設置するのもいいですね。
高山恵子 (たかやまけいこ) インテリコーディネーターであり一児の母。
■インテリアデザイナーとしてキャリアを積む。主婦になりインテリコーディネーターに転身。
誰にとってもぐっすり眠るのは、本当に気持ちのいいこと。一生のうち睡眠時間は、三分の一といわれます。もしかしたら半分はベッド(布団)の中にいるかもしれません。そんな寝室は、ぐっすり眠り健やかな目覚めという本来の機能以外に「くつろぎの場所」としての精神的要素が求められています。寝室の空間造りは、充実した毎日の活力源を得るためにも、リラックスさせる空間にしたいものです。
空間
リビングがパブリックなくつろぎ空間だとすれば、寝室はプライベートなくつろぎ空間。落ち着いて話たい時、大切な話がある時など、椅子やソファー、小さなテーブルを置いて空間を作ってはいかがでしょう。
好きな飲み物などを用意すれば、他愛のないおしゃべりで会話がはずみます。くつろいだり、とりとめのない会話を交わしたりという習慣も自然と生まれます。「個」を見つめ、「個」を磨く場としての空間造りを心がけてみてはいかがでしょう?
色
寝室での色の要素は、重要です。70%を占める天井・壁・床は、室内のイメージを左右します。同系色でまとめ、落ち着きのある配色にしましょう。
明度に関しては、天井は明度を高くし、壁面・床面と順に明度を低くしていくと安定感のある色彩 効果を得られます。
サブカラーである寝具やカーテン・家具類は25%を占めています。統一感の中に変化を与えるだけで部屋全体のイメージがガラッと変わりますよ。
クッション・照明・小物等は、アクセントのあるカラーに。大部分を占める天井・壁・床とは対照的な色で空間を引き締めてください。
照明
寝室の照明で一番気をつけたいことは、横になった時に光源が目に入らないようにすること。光源が目に入り、脳が「くつろげない」状態になるからです。照明器具の位 置をずらすか、光源が直接見えないタイプにすると良いでしょう。
ブラケットやスタンド、スポットライト等を上手く使いましょう。壁面 や天井を照らしたり、絵や観葉植物をライトアップして、明るい部分と暗い部分との差をつけると、精神的にくつろげる効果 を得られますよ。本を読んだりするような照度の必要な時以外は、ベース照明を使わないメリハリを効かせたライティングがいいでしょう。
光源の種類ですが、「くつろぐ部屋」では蛍光灯より白熱灯がベスト。白熱灯は、温かい色味に加え、物が立体的に見えるという性質があります。立体的な方が、メリハリがあり、落ち付いた空間を得られます。
暖房
快適な眠りを得るハード面も大切。目安にしたい室温は、夏は25〜27℃、冬は18〜20℃。湿度は季節を問わず50%位 が理想です。冬場は、暖房によって空気が乾燥し過ぎたり、部屋の上部ばかりが暖まり、夏場に比べて調整が大変です。
そこで寝室に向いているのが床暖房です。輻射熱によって安定した温度が床面 から天井まで1℃前後の温度差で保て、頭寒足熱で快適な眠りを得られる要素が多いようです。部屋のほこりを舞上げることもなく、暖房の風も直接当たらないので、お肌にもやさしいというところもうれしいですね。
床暖房
既存の床を剥がしてという大がかりな工事をしなくても、最近では1〜2日で施工でき、床の仕上げもフローリングの他、カーペットやコルクタイル、畳材等、お部屋に合c?わせた選択ができますので、寝室の快適な環境作りのヒントにして下さい。
高山恵子 (たかやまけいこ) インテリコーディネーターであり一児の母。
■インテリアデザイナーとしてキャリアを積む。主婦になりインテリコーディネーターに転身。







